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島根県土地改良事業団体連合会
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第14回(平成22年度)

最優秀賞

人物部門 「連携」
撮影地:浜田市
近堂 智規
 
画面構成の素晴らしい作品で、主体の人物が単純化された良さが出ています。
曲線を画くようにカーブして並ぶ稲の苗が、デザインのようです。その中にいる2人は親子でしょうか。子供が指を差してお母さんに何か云っているのでしょうか。この後ろ姿からは多くの事が想像させられます。見る人に何かの物語を感じさせます。このような状況を描画したカメラアイが良いと思います。特に子供の右手と左手がこの作品の主役をつとめています。 これぞ農村風景として印象に残る作品だと思います。カメラ位置も良く、建造物も無く周囲も整理されており、美しい中にも良い空気感の感じられる作品となりました。
審査員全員で最優秀賞に推挙した作品です。

部門賞

風景部門

風景部門 「寒風の朝」
撮影地:斐川町
田中 作夫
 
「ししす」のある風景写真ですが、雪の質感の描写が良いと思います。かつては出雲路の田園風景として
築地松と一体となり、秋から冬の風物詩となっていました 。最近ではあまり見る事ができない中で、これを見事に再現されたものです 。正月頃の豪雪の中で季節風にあおられ、雪が網とともに結晶体のような形となって冬の厳しさを表現しています。山陰独特の鉛色の空と相乗して、ローカル色の強い風景写真となりました。地元に住んでいるから撮れた作品と云えますでしょう。
まとまりの良い作品となりました。

人物部門

人物部門 「祭りの日」
撮影地:出雲市稗原町
橋本 潤子
 
祭りでは、様々な形で子供が主役になることが多くあります。
大きな祭りのうちわが2枚、左側は静止しており右側は動いています。この対比が面白く描かれています。3人の子供のそれぞれの表情の中から対話が聞こえてきます。特に女の子が話しかけているのが印象的です。前に投げ出された足の情景と左側の顔の見えない子供との対比も、面白く撮れています。それぞれの表情の中で物語が展開されており、祭りの楽しさが見る人に伝わってくるようです。シャッターチャンスの良い作品となりました。

施設部門

施設部門 「夕暮れの高原」
 撮影地:奥出雲町八川三井野
石倉 貞昭
 
逆光の中に光を放つビニールハウスが中心画面となり、作品の見せ方としても成功しました。両側のハウスはビニールが張られていなくて、明暗のコントラストが美しい情景を見せています。
僅かに見える逆光の中のススキが季節感を出しています。何れにしても構成美の良さが、芸術的な作品となりました。フィルムカメラによる独特な質感の表現も良いと思います。もう少し低いカメラ位置で撮影すると、更に立体感が出て力強い作品になります。
素晴らしい努力作品になりました。

イベント部門]

イベント部門 「田植神事」
撮影地:江津市川平町南川上
小林 茂雄

かつては多くの農村で見られた花田植えの風景です。
本物の牛の代掻きではなく、人間が牛に扮した姿であるところに、この作品の良さがあります。
どこから見てもユーモラスであり、笑いがこみ上げてくる様な作品ですが、牛の周囲の水面にできた輪の効果もよく、牛の目と人間の目が印象画面となりました。もう少し周囲の環境を写し込むと、更に良い作品になります。人間の面と牛を引っ張るたるんだ縄にユーモアがあり、まるで漫才を見ているようです。周囲の足跡までもリズミカルに曲線を描き、見ているだけでも楽しい作品となりました。

審査委員特別賞

島根県緑化推進委員会会長賞
風景部門 「秋興」
撮影地:津和野町
瀧川 純一
川本貢功賞
人物部門 「遠足」
撮影地:出雲市稗原町
古瀬 倶之
渡里彰造賞
風景部門 「朝一仕事」
撮影地:松江市忌部町
渡辺 正史
伊藤ユキ子賞
人物部門 「よっ!」
撮影地:吉賀町柿木村(大井谷棚田)
佐々木 祐子
小滝達也賞
イベント部門 「七夕の子」
 撮影地:斐川町(久木)
新田 康彦
松本公一賞
風景部門 「夕映え」
 撮影地:浜田市三隅町(室谷棚田)
入江 孝美
田中 修賞
人物部門 「母」
撮影地: 奥出雲町
佐伯 範夫

入選

風景部門 「ファミリー」
撮影地:浜田市金城町波佐
永見 研一
風景部門 「かかし」
撮影地:雲南市木次町山片
橋本 博
風景部門 「干し柿のある風景」
 撮影地:出雲市多久町
高橋 範行
風景部門 「野焼き」
撮影地:松江市浜佐田町
新田 守
人物部門 「いたずら」
撮影地:大田市
橘 重孝
人物部門 「とらわれの身」
 撮影地:奥出雲町竹崎
佐藤 典子
人物部門 「菜の花と子供達」
 撮影地:松江市八束町
吉岡 直樹
施設部門 「冬景色」
撮影地:雲南市木次町寺領
(ワイナリー奥出雲葡萄園)
桂川 亮
イベント部門 「舞い降りた水神」
撮影地:吉賀町田野原(蛇池)
吉﨑 佳慶
イベント部門 「神事華」
撮影地:出雲市佐田町反辺
中島 恒夫

佳作

風景部門 「鴨の来る田」
撮影地:出雲市灘分町
田坂 将
人物部門 「春の日」
庄司 成雄
風景部門 「彼岸花の咲く頃」
 撮影地:斐川町
島本 睦男
風景部門 「棚田にて」
撮影地:雲南市大東町(山王寺棚田)
古安 和子
人物部門 「秋晴れ」
撮影地:雲南市大東町(山王寺棚田)
遠藤 勉
風景部門 「棚田を守る3姉妹」
撮影地:浜田市三隅町(室谷棚田)
秋月 静枝
人物部門 「日日これ好日」
撮影地:奥出雲町大呂
勝部 正
施設部門 「鮎釣り」
撮影地:出雲市佐田町
西尾 辰郎
イベント部門 「花馬」
撮影地:出雲市多岐町(秋祭り)
福岡 輝治
イベント部門 「とんど祭り」
撮影地:雲南市木次町
藤原 靜雄

山陰フジカラー賞

風景部門 「干柿の里」
撮影地:八束郡東出雲町上意東
安達 彰

特別賞(農地・水・環境保全活動特別賞)

人物部門 「棚田の草刈」
撮影地:浜田市三隅町(室谷棚田)
財間 義文

応募状況

応募作品総数

685点
風景部門 300点
人物部門 209点
施設部門 53点
イベント部門 123点
応募者数 203人(内県外者41人)

総評

今回の応募状況を見てみますと、風景部門の応募が一番多く、次が人物とイベント、少ないのが施設部門です。
風景は写真の原点と云われます。カメラを始めたばかりの人にも撮り易く、世の中には風景写真が多く見られるのが現実です。しかし最近の風景写真は、少しずつ変化をしています。
現在のカメラは、従来のカメラと違って多機能な装備を持っています。ピントや露出、シャッターは殆ど自動化しており、カメラを向ければ風景でも何でもカメラが写してくれます。写真は自分の感性で写す訳ですから、農村景観においても、まず「素材をイメージする」ことが大切です。例えばイベントでは、その祭りの日取りや内容を事前に把握しておきますと、より詳細な祭りのストーリーが分かります。その中でバックの構成、また踊りであればその形等を精査しておく事が大切です。そうすれば、ストーリー性のある奥行きの深い作品ができます。他の部門も同様です。
農村には多くの農業用施設があるにもかかわらず、施設部門の応募は非常に少ない状況です。施設にも他部門と同様に潜在的な素材があるように思いますが、もう少し農山村地帯を巡ってみてはどうでしょうか?
一般論ですが、自分が好きな農山村の景観を題材として選んで作品にする時には、あまり色彩にこだわらず、内容にこだわることが必要だと思います。今回上位に入賞された作品には、このような作品が見られました。
「カメラに写してもらうのではなく、自分がカメラをフルに使いこなすことが大切です。そうすれば良い作品は生まれてくる。」と云われたのが、かつて写真界の巨匠といわれ、花鳥風月を主体に多くの写真集を残された秋山庄太郎先生でした。「カメラをペンの替わりに使いこなす努力が大切だ。」とも云われたものです。
農山村の景観は、すべての原点と云われるものですから、人間の生活や営み等を題材として、人の心を癒してくれる映像表現に期待しています。

(写真家/川本 貢功)
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