最近における我が国の写真事情が随分と変わりました。
それは、明治・大正時代のゴム印画と、更に昭和に入ってからのフィルムによる写真表現、平成10年代からはデジタルによるフィルム不要の写真作りとなりました。
この間において、勿論カメラ技術の進歩は目を見張るものがあります。特に最近は、小型化と利便性がよくないと売れないとの事で、カメラは殆んど小型化され、しかも全自動化されています。
加えてスマホや携帯電話等も優秀なレンズが装備されており、どんな場面でもよい写真が撮れるようになりました。このことから日本では、一億総カメラマン時代ともいわれています。
このような中「しまねの農村景観フォトコンテスト」は今回で第19回目となりましたが、総体的に従来のような、ピンボケ、発色不具合のような作品は皆無となりました。
これも、写真機材の性能の向上の賜物です。しかも多くの人がカメラを持ち歩いていますので、農村でもどこでもよい被写体があれば、カメラのシャッターを押せば写る訳です。
今回の第19回しまねの農村フォトコンテストにおいて気付いたことですが、すべての応募作品の構図がしっかりと固定されてきており、風景でも人物でも表現技術が以前には見られなかった角度や、対話しながらの作品が多く見られました。
第15回のフォトコンテストあたりから、農村における写真表現が、それぞれのカメラマンの方々に浸透してきたように思いました。
最近では県外からの応募作品も多く見られるようになりましたが、島根の農村には多くの題材があります。やはり働く人達や祭りの人間模様などに秀作が多く見られました。
今回も施設部門とイベント部門の作品の応募が少ないです。島根県には田植の頃や収穫の頃には多くの神社で祭りがあります。又、農村には多くの施設が見られます。これらにもカメラを向けて欲しいものです。
又、応募作品部門の選択は応募される皆さんが決定される訳ですが、以前よりもかなり部門の選び方が良くなってきていますが、素敵な人物が撮れていても他部門に応募されたり、逆に風景部門と思われるのに人物部門に出品されたりしている作品が若干見受けられます。審査にあたっては、部門の変更などは一切しませんので、注意して応募して下さい。
例えば画面の中に人物が半分以上写っている場合は人物部門、風景の中に人物が半分以下でしたら風景部門です。他の部門は、殆んど間違いはありませんでした。
次回は、記念すべき第20回のフォトコンテストとなります。島根の農村の美しい情景と人々の触れ合いなど、農村のあらゆる角度から写し撮られた作品を期待しています。
今や写真は時代考証として貴重な記録ともなっています。
(写真家/川本 貢功)