今回で第20回目の「しまねの農村景観フォトコンテスト」となり、これを記念いたしまして松江市出身の俳優の佐野史郎さんを特別審査員としてお招きしました。
佐野さんの父上は医師会の写真仲間で活躍され、他のお医者さんは35㎜のライカなどでしたが、一人二眼レフを使用しておられました。これが当時は中々手に入らなかったミノルタフレックスだったそうです。
又、母方の祖父は出雲市大社町の写真館のご主人で写真に対するご造詣が深く創立まもない島根県写真作家協会の会長や中国写真協会会長等多くの要職についておられました。こんな環境の中で育てられた佐野さんは自然体として写真に興味や目が向いたのでしょうか、非常に写真に対する清澄な雰囲気を持っておられ、改めて写真に対する意気込みのようなものを感じました。審査当日もライカカメラを持参しておられ、特製のケースに入れて大切に扱っておられました。
審査にあたっては自ら多くの作品を選出されましたが、これが第1回から第3回まで審査を担当された今は亡き植田正治先生的な見方であることに二度びっくりしました。
さて、写真には、それぞれ一つの美学のようなものがあり、美しさの表現があって、それが美しさ以外の物語性を持ったりするものですが、今回このような作品と映画などのラストシーンの感動的な場面を切り取って映像化したような作品も応募されていました。
また、これまでも何回か申し上げておりますが、部門別の選択に迷いを持っている応募者の方がいらっしゃいますが、人物が画面の半分以上であれば、人物部門に応募して下さい。
最近のデジタルカメラは露出なども全自動になっておりますが、マニュアルで撮影すればシャッターも意図的にオーバー、逆にアンダーに設定出来ます。これを利用して早朝や暮色の頃の被写体を撮影されると個性的で多彩な表現が可能となりますので申し添えておきます。
デジタルカメラとプリントは年々新製品が多く発表されていますが、カメラまかせにしないで自分の感性で撮影して下さい。
島根県の風土の8割は山村と農村といわれており題材も豊富ですし、特にお祭りは我が国の中でもかなり多い方ですが、この中には人手不足で消えていくものもあります。
これらも時代を考証するものとして記録に残したいものです。
これができるのが写真であり記録であります。
(写真家/川本 貢功)