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島根県土地改良事業団体連合会
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第22回(平成30年度)

最優秀賞

風景部門 「日暮れ時」
撮影地:出雲市灘分町斐伊川土手
坂本 新次
 
画面全体が絵画を見るようにドラマチックに撮影されています。夏の終わりを告げる入道雲と下方の積乱雲が入り交じる空間の広がりがよく撮られています。
更に青空までもが一大スペクトルを見るような大自然の光景を写し出しています。この季節に多く見られる風景ですが、このような題材を選ばれた作者の審美眼を評価したいと思います。
その中でも主役は、なんといっても麦ワラ帽を被っている人物です。ランニングシャツと半ズボンが暑い日々を感じさせます。道路や野草までが添景として人物を引き立てています。遠くに見える山脈と大自然をそのままに活写されており、印象的な作品となりました。
 
(写真家/川本 貢功)

特別審査委員賞(佐野史郎)

人物部門 「竹の子いっぱい」
撮影地:松江市古曽志町
山根 茜
 
第20回目から審査に参加させていただいている「しまねの農村景観フォトコンテスト」、今年で3年目となりましたが、応募点数も増えてきていて嬉しい限りです。
一方、毎年、同じような場所で撮影された作品が目につくようにも思われました。いわゆる名所ではなくとも、美しい農村風景の残るところは、誰の眼にも留まるということでしょうか?
それでも、ハッとさせられる作品が少なからずあり、美しい島根の農村風景や人物に見返されているような感覚も覚えました。
今年の「佐野史郎賞」は、自分では意識していなかったのですが、期せずして3年連続の組写真の中の一枚となりました。
テーマは「少年」。
あぜ道を満面の笑顔で苗を持って歩く少年。(第20回)
赤い炎に照らされた、たたら製鉄を体験をする真剣な少年の眼差しには古代出雲の魂が宿っているかのようでした。(第21回)
そして今年の、朝掘りのタケノコの皮をむく笑顔の少年。(第22回)
美しい島根の自然と愛情いっぱいの作品を前に、己の失われた少年の無垢さを忘れるなと叱咤される思いでした。
 
(特別審査委員:佐野史郎)

部門賞

風景部門

風景部門 「夕映え」
撮影地:安来市広瀬町比田
福田 一壽
 
日が沈む頃は、色彩濃度が濃くて、さまざまな場所で夕日が美しく見られますが、この作品の良さはやはり田んぼの中で働く人物像です。田植の終わったあとに見られる光景でシルエットロマンと言われる力強い作品となりました。
このような逆光線を利用しての作品は色彩の美しさでドラマチックな作品が多く出来る場合があります。
足元の影と水の反射、更には手の動きまで、タイミングよく撮れています。何か映画のワンシーンを見ているかのような、シャッターチャンスの良い作品です。写真は時間芸術ともいいますから田植の終わった田園は美しく更に上部の黒い部分が画面に重量感のようなものを見せています。絵画を見るような素晴らしい作品となりました。
 
(写真家/川本 貢功)

人物部門

人物部門 「祈願」
撮影地:大田市仁摩町大国冠
橘 重孝
 
大胆な画面構成です。このように画面の半分を人物で埋めつくす作画には力強さを感じます。トンドの飾り物が周囲にあって緑やお供えの品々が効果的に並んでいます。これだけでも祭りの作品として心象風景を見せています。
人物の背景に物語性があり、神様にお祈りをしている人はどのような人でしょうかと想像します。この人の顔が見えないのがよく、更に想像力を発揮して見入ることのできる作品となりました。
御高齢の方でしょうか。何を祈願しているのでしょうか。家内安全とか豊年満作とか楽しい情景を描写していますし、ユーモラス性もあります。このような風景は大切に残してゆきたいものです。素晴らしい心象作品となりました。作者の被写体に対する着眼点が素晴らしいと思います。
余談ですが、一升瓶が島根の地酒なら更に良かったのですが・・・
 
(写真家/川本 貢功)

地域活性化部門

地域活性化部門 「比田の花田植え」
撮影地:安来市広瀬町比田
谷口 真澄
 
画面構成のよい作品となりました。ユーモラスな牛さんが田んぼに入っており、この被写体が中心画面となって素晴らしい表現技術で作品を盛り上げています。
手前の三人の子供達の背景が印象画面となっています。加えて上部に見られる人の影が多色的に田んぼに反射し、画面の中で相乗効果をあげており、これだけ計算高い作品は力強さが強調される作品です。
このような行事はかつて多くの集落で見られたものですが、この作品は素直に情況を描写しており、記録的にも良い作品となりました。今では田んぼに入る事も減ってきていますが、長い伝統を守り続けて頂きたいものです。
確かなカメラアイで撮られています。又、牛の中に入っている人は、どんな人だろうかと想像できるのも楽しい作画となり、素晴らしい作品となりました。
 
(写真家/川本 貢功)

審査委員賞

島根県緑化推進委員会会長賞
風景部門 「花時」
撮影地:益田市岩倉町岩栃
西尾 透
川本貢功賞
地域活性化部門 「津和野の祭り」
撮影地: 鹿足郡津和野町
内藤 章江
岩下直行賞
人物部門 「金のブランコ」
撮影地:大田市三瓶町池田
家本 啓佑
伊藤ユキ子賞
人物部門 「秋日和」
撮影地:松江市宍道町佐々布
鶴島 里子
日高敏彦賞
風景部門 「田植えを待つ朝」
撮影地:雲南市大東町山王寺
門脇 正晃
島根県農林水産部技監賞
人物部門「ごちそうさま。」
撮影地:安来市宇賀荘町
三品 知子
水土里ネット島根専務理事賞
地域活性化部門
「伝統を継ぐ」
撮影地:江津市跡市町
盆子原 政司

入選

風景部門 「作業中」
撮影地:出雲市平田町島村
佐藤 正美
風景部門 「冬への備え」
撮影地:仁多郡奥出雲町矢谷
熱田 愼次
風景部門 「早く大きくなーれ」
撮影地:鹿足郡吉賀町柿木
齋藤 邦夫
風景部門 「流れ」
撮影地:出雲市斐川町瑞穂大橋
飯塚 真吾
人物部門 「ほのぼの」
撮影地:雲南市大東町山王寺
古安 宣夫
人物部門 「僕たちの棚田まつり」
撮影地:雲南市大東町山王寺
青戸 繁
地域活性化部門 「大蛇大暴れ」
撮影地:鹿足郡吉賀町田野原
斎藤 孝子
地域活性化部門 「祭りの日」
撮影地:松江市美保関町片江
寄能 久子

佳作

風景部門 「仲秋」
撮影地:出雲市下古志町
春日 通男
風景部門 「寒朝」
撮影地:仁多郡奥出雲町横田
石原 加弥子
風景部門 「よずくはで」
撮影地:大田市温泉津町湯里
出川 正廣
風景部門 「休耕田の朝霧」
撮影地:松江市八雲町宮内
渡辺 正史
人物部門 「雪の朝」
撮影地:出雲市斐川町坂田
行長 好友
人物部門 「ジジ大満足」
撮影地:松江市宍道町佐々布
安田 祥子
地域活性化部門「巨大 甑(せいろ)」
撮影地:江津市桜江町長谷
寺戸 義定
地域活性化部門 「村祭り」
撮影地:出雲市斐川町
藤江 松男

山陰フジカラー賞

風景部門 「ひと休み」
撮影地:松江市鹿島町御津
松岡 治恵

応募状況

応募作品総数

565点
風景部門
311
人物部門 155
地域活性化部門 99
応募者数
197人(内県外者20人)

総評

フィルムカメラを置き去るようにして、現在では殆んどがデジタルカメラになってきました。特に最近はコンパクトカメラやスマートフォン、携帯電話でも写真が写せるようになりました。これらはすべて自動・小型化され、従来のように露出などで困ることは皆無となりました。また誰でも簡単に写真を撮ることができるようになり、今回の応募作品もピントや露出も正確なものが殆んどでした。
デジタル写真が出現して今年で17年になりますが、最近はフィルムカメラに負けないような画質で写真が撮れるデジタルカメラが発売されるようになり、一般的な風景や祭りや神事等の撮影には最適と言われるようになりました。
このように高価なカメラに劣らぬ写真を撮ることができるようにもなりましたが、フィルムカメラのように質感の描写や細かい明暗部の撮影における色彩表現にはまだ到っていません。農村風景にはシャープさと質感が求められています。
前回より応募部門が3部門になりましたが、応募作品全体の55%が風景部門、人物部門が27%、地域活性化部門が18%と言うことで、半分以上が風景部門への応募でした。
特に風景写真には風景全体が素晴らしい写真が出品されていましたが、その風景の中に人物や農業に関する対象物を添景とした場面を映像化された作品が多く見られ、そういった作品が上位を占めたように思います。
以前ですと田植の頃は家族総出のような風景も見られましたが、最近はトラクター等による機械化農業になりました。これらも近代農業としてよい作品となる被写体ですし、祭りの賑わいや笛の音も聞こえるような心象的な作品も期待しています。
いずれにしても見る人の心に残るような作品ができればよいと思いますが、平成最後のこのコンテスト作品も記録的にも優れた作品が多く見られました。
幸いこのコンテストは最終的には写真集もできますし、これらは農村の記録としても永遠に残って時代考証ともなりますので、四季の農村風景などこれからも多くの人が感銘するような作品を期待しています。
写真は楽しみながら撮ることが第一ですから・・・
 
(写真家/川本 貢功)
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