第13回(平成21年度)
最優秀賞
イベント部門「収穫の日」
撮影地:雲南市大東町
永原 壯郎
永原 壯郎
このような作品を空間表現といいますが、この作品の場合は、高低差のある稲はでをこれだけのカメラアイで撮られたこと、縦位置の構成にしたことは素晴らしいことです。
よく見ると、それぞれの子供達が違った表情をしています。下方の少年は正面を向いておりますが、上方の子供達は適当にパフォーマンスをしておりサーカス気分でしょうか。
稲はでを中心にして、これだけの情景が撮れたことは画面構成の上から見てもユニークな作品となりました。
青空の中で刈り取られた稲たばが左右に分けてかけてあるのもよく、中心部分が空間になっているのが風景を拡げて見せています。空の雲までが下方にあって遠方の山々と稲はでそのものを力強く見せています。
何れにしても、愉快な子供達が主役となった自然の中での物語が強調されており、これぞ農村の中で見られる瞬間芸術作品ではないでしょうか。
審査員全員で最優秀賞に選出した作品です。おめでとうございました。
部門賞
風景部門
風景部門「冬仕度」
撮影地:東出雲町揖屋
福田 一寿
福田 一寿
農村に行けば見過ごしてしまいそうな情景です。
農家の軒下にある大根干しの描写がよく、全体的にカラーバランスのよい作品です。
これから漬物にでもなるのでしょうか。大根の白さと緑の葉がインパクトの強い印象表現となりました。
特に上方にある黒い屋根瓦が二段に撮られており、これが画面の半分を制しており、無気味な構成となっており、題名の「冬仕度」の場面として、計算どおりに撮られたような作品です。都会地では見られない農村風景でもあり郷愁のようなものを感じます。
又、左画面にあるそれぞれの農具等が、これもひと仕事が終わったかのように整然と並べられており、まさに冬仕度に入るような印象深い作品になりました。
農家の軒下にある大根干しの描写がよく、全体的にカラーバランスのよい作品です。
これから漬物にでもなるのでしょうか。大根の白さと緑の葉がインパクトの強い印象表現となりました。
特に上方にある黒い屋根瓦が二段に撮られており、これが画面の半分を制しており、無気味な構成となっており、題名の「冬仕度」の場面として、計算どおりに撮られたような作品です。都会地では見られない農村風景でもあり郷愁のようなものを感じます。
又、左画面にあるそれぞれの農具等が、これもひと仕事が終わったかのように整然と並べられており、まさに冬仕度に入るような印象深い作品になりました。
人物部門]
人物部門「収穫」
撮影地:雲南市掛合町
角場 薫
角場 薫
画面全体から農村で働く人の力強さを感じました。稲たばを積みあげている表情の描写が決定的な瞬間を写しています。麦わら帽子が中心画面となりました。
この作品のよさは空間を黒く沈ませたことです。これによって新鮮な作品に仕上っています。
光は写真にとって最大の演出家とも云われるように明暗部のはっきりした画面のバランスがよく、何れにしても黒の部分が単調になり易い画面を引き締めています。勿論、働く人の表情が自然体で撮られており、農村の中の人物写真としての見せ方のよい作品となりました。
日夜、農家の人々が、このように働いておられる情景を真正面から見ることができる感動的で、印象深い作品となりました。
この作品には、多くの物語があるような作品効果が見られ、働く人の労働の中にも美しさを見ることができました。
この作品のよさは空間を黒く沈ませたことです。これによって新鮮な作品に仕上っています。
光は写真にとって最大の演出家とも云われるように明暗部のはっきりした画面のバランスがよく、何れにしても黒の部分が単調になり易い画面を引き締めています。勿論、働く人の表情が自然体で撮られており、農村の中の人物写真としての見せ方のよい作品となりました。
日夜、農家の人々が、このように働いておられる情景を真正面から見ることができる感動的で、印象深い作品となりました。
この作品には、多くの物語があるような作品効果が見られ、働く人の労働の中にも美しさを見ることができました。
施設部門
施設部門「春の小川」
撮影地:吉賀町柿木村大井谷川
吉﨑 佳慶
ここは棚田百選の大井谷から流れて高津川に合流する大井谷川であり、菜の花の名所ともなっている場所だそうです。画面全体が絵画を見ているようですし、題名までが音楽を聞いているように美しい作品となっています。
中心画面の構成がよく、そこにある川の流れは、清流となり段差の流れにしたがって大河と合流するのでしょうか。
水の流れもシャッター速度がよいため、時間差のようなものを感じます。この川を実に美しく見せているのが両側にある花たちです。画面の半分を川の流れとして、その半分を菜の花で見せる構成は素晴らしい農村の物語を生みました。詩情があり、この場所に行ってみたいと感じるのも、里山の中にある菜の花の香りに誘われるせいでしょうか。写真表現のよい作品で、まさに動と静の相乗効果が見られる作品でもあります。
イベント部門
イベント部門「棚田の三姉妹×2」
撮影地:浜田市三隅町室谷
撮影地:浜田市三隅町室谷
入江 孝美
案山子が三体と女性が三人。背景は山の大自然をスタジオにしたような作品です。
題名のとおり、三姉妹のそれぞれの表情と手を高くあげているかかしの顔に画かれた表情が面白く写されており、ユーモアのある作品となっております。よく見てみますとかかしの衣裳も近代的で、それぞれの靴が印象画面となりました。前列に並んでいる靴底の部分が何かを問いかけているようです。例え演出された情景であっても、これだけの道具が揃っての記念写真は出来るものではありません。加えて写真的な見せ方もうまく、どれがお姉さんで、どれが妹さんだろうかと、写真を見ているだけでも楽しさが伝わってくるような気がします。
緑の多い自然界を上手に背景として生かして成功しました。
色彩表現もよく季節感もあり、よく見ていると笑みの見える作品でもあります。
題名のとおり、三姉妹のそれぞれの表情と手を高くあげているかかしの顔に画かれた表情が面白く写されており、ユーモアのある作品となっております。よく見てみますとかかしの衣裳も近代的で、それぞれの靴が印象画面となりました。前列に並んでいる靴底の部分が何かを問いかけているようです。例え演出された情景であっても、これだけの道具が揃っての記念写真は出来るものではありません。加えて写真的な見せ方もうまく、どれがお姉さんで、どれが妹さんだろうかと、写真を見ているだけでも楽しさが伝わってくるような気がします。
緑の多い自然界を上手に背景として生かして成功しました。
色彩表現もよく季節感もあり、よく見ていると笑みの見える作品でもあります。
審査委員特別賞
入選
佳作
応募状況
応募作品総数 690点 |
風景部門 | 279点 | |
文章 | 人物部門 | 230点 | |
文章 | 施設部門 | 63点 | |
文章 | イベント部門 | 118点 | |
応募者数 | 190人(内県外者42人) | 文章 |
総評
第13回「しまねの農村景観フォトコンテスト」は過去最高となる690点の応募がありました。
応募作品の中には、今までに余り見られなかった様な農山村の風景等がありましたが、応募の多かった風景部門には、農村の息吹を感じさせる作品、特に四季のさまざまな風景が見られました。中には過去に余り見られなかったような情景描写の作品が見られ、従来とは違った印象表現のよいものが多く見られました。又、花鳥風月を強調したような題材の作品も多く目につきました。
人物部門には、さすがに秀作が多くて、人間の表情の描写をはじめ、太陽光の光をうまく利用して撮られたもの、写真は瞬間芸術とも云われるようにシャッタースピードとチャンスを生かした作品が目につきました。施設部門については、作品の応募が少なく、施設と云う題材に迷っておられる方もあるようですが、農山村には自然の中にも建造物があったり、古くからの農村施設などさまざまな施設があります。又、現代的な施設も多くあります。
イベント部門については、祭りが多く見られました。古くから伝承されているもの、又、近代において創作的に開かれる農村の行事や田んぼの中で行われる運動会のようなものまで、幅広い範囲での写真が出品されていました。最近は、デジタルカメラが普及しており、応募者の範囲が広がって誰でも撮れると云うことでスナップ的な写真に自然体の表現のよいものが多くあり、花鳥風月的な写真は銀塩写真と区分されているように思いました。次々と発売されるデジタルカメラの新製品は、コンパクトになり使い易く、デジタル黎明期においては成熟度も足りなかったようですが、現在は新機能が多く搭載されており、よりよい写真づくりに一役買ってきています。
今回の応募された作品も、これらのカメラに助けられるかのように作品効果を見せているものも多く見られました。今の農山村の景観を記録として残しておくことは大切な要素でもあり、本県のような秀れた農山村の景観は貴重であり特に半農半漁の集落は少なくなってきています。これらは絶好の被写体ともなりますので人の心を癒してくれるような作品もできると思いました。第13回目となる今回の応募作品は、従来よりレベルの高いものとなりました。特にカラー表現による色彩効果は、ラボネットの高い技術も見られ農村の自然景観等をより美しく見せていました。
応募作品の中には、今までに余り見られなかった様な農山村の風景等がありましたが、応募の多かった風景部門には、農村の息吹を感じさせる作品、特に四季のさまざまな風景が見られました。中には過去に余り見られなかったような情景描写の作品が見られ、従来とは違った印象表現のよいものが多く見られました。又、花鳥風月を強調したような題材の作品も多く目につきました。
人物部門には、さすがに秀作が多くて、人間の表情の描写をはじめ、太陽光の光をうまく利用して撮られたもの、写真は瞬間芸術とも云われるようにシャッタースピードとチャンスを生かした作品が目につきました。施設部門については、作品の応募が少なく、施設と云う題材に迷っておられる方もあるようですが、農山村には自然の中にも建造物があったり、古くからの農村施設などさまざまな施設があります。又、現代的な施設も多くあります。
イベント部門については、祭りが多く見られました。古くから伝承されているもの、又、近代において創作的に開かれる農村の行事や田んぼの中で行われる運動会のようなものまで、幅広い範囲での写真が出品されていました。最近は、デジタルカメラが普及しており、応募者の範囲が広がって誰でも撮れると云うことでスナップ的な写真に自然体の表現のよいものが多くあり、花鳥風月的な写真は銀塩写真と区分されているように思いました。次々と発売されるデジタルカメラの新製品は、コンパクトになり使い易く、デジタル黎明期においては成熟度も足りなかったようですが、現在は新機能が多く搭載されており、よりよい写真づくりに一役買ってきています。
今回の応募された作品も、これらのカメラに助けられるかのように作品効果を見せているものも多く見られました。今の農山村の景観を記録として残しておくことは大切な要素でもあり、本県のような秀れた農山村の景観は貴重であり特に半農半漁の集落は少なくなってきています。これらは絶好の被写体ともなりますので人の心を癒してくれるような作品もできると思いました。第13回目となる今回の応募作品は、従来よりレベルの高いものとなりました。特にカラー表現による色彩効果は、ラボネットの高い技術も見られ農村の自然景観等をより美しく見せていました。
(写真家/川本 貢功)