全国的に言えることですが、以前の募集案内では、デジタル写真も可と言う表現で、デジタル写真は写真界では異色な扱いを受けていました。しかし、今やデジタルカメラは高級機からコンパクトカメラまで日進月歩の発展を遂げ、機能や操作性が大幅に向上し、更にはプリンターの性能も良くなったことと相まって、銀塩写真にも劣らない高度な写真を作ることができるようになりました。
そうしたことが、全国的にも写真愛好家の増加に拍車を掛けています。
今回で第15回を迎えた「しまねの農村景観フォトコンテスト」でも当初は珍しかったデジタル写真が大半を占めるようになり、入賞作品の殆どがデジタルカメラによるものでした。
また、全体の応募数も714点となり過去最多となりましたが、これもデジタルカメラの普及と回数を重ねるごとに農村景観フォトコンテストの趣旨が多くの方々に理解された結果だと思います。
本県には多くの農村景観がありますが、そこで営まれる生活や祭りなど写真作品として数多くの被写体があることを、今回の審査を通じて改めて認識させられました。
写真の原点と言われる風景写真部門については、撮影技術も高度化し色彩効果を有効に利用した作品が多く見られるようになりました。中には、人物部門と混同した風景写真もあり、人物部門に応募された方がよい作品も見受けられました。これは応募者の判断ですが、画面半分以上に人物が写っておれば人物部門で応募された方がよいと思います。
人物部門については、殆どの作品が人物本位になっておりましたが、人の動きや表情描写の良い作品が多く見られるようになりました。
施設部門については、以前にも申し上げましたが、農村には多くの農業用施設があり、ビニールハウス、カントリーエレベーター、農業用水、野生生物や牧畑の牛馬の姿等が被写体としてよい題材となります。
イベント部門については、古代から伝承される神社の祭り等の写真が主となっています。本県には、全国でも一番多く祭りがあると言われており、田植の頃から収穫の頃まで様々なイベントが被写体となります。大きな祭り等はネット上で判りますが、小規模の祭り等については露天商の人達に聞くと詳しく教えてくれますし、小さな祭りでも良い作品が数多く発表されています。
農山村の歴史は古く、八岐大蛇退治の神話時代にも鉄山族や農民族の話しがありますし、雄大なスケールの中で田の神様が活躍しているような夢を画きながら写真を撮られるのも、神々の国島根だから出来ることだと思います。
加えて本年は古事記編纂1300年の記念イベントも盛大に開催されます。この機会に県内外の多くの方が本フォトコンテストに参加されることを期待します。
(写真家/川本 貢功)