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島根県土地改良事業団体連合会
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第20回記念(平成28年度)

最優秀賞

風景部門 「霧の朝」
撮影地:出雲市斐川町坂田
佐藤 正美
 
この作品は神秘的に表現することによって成功しました。
かつて斐川平野は築地松を始め斐伊川や田園風景に代表される被写体の宝庫といわれていますが、特に農道や土提なども多くあり、冬の早朝には野鳥が多く飛来して別世界を演出してくれます。
こんな霧の日は、視界が霞み、この中に太陽が顔を見せていますが、これ自体で幽玄的な風景になっており、これらの画面の中心に一人の人物と二匹の犬が散歩しています。
これこそ絶好の被写体であり、シャッターチャンスのよい作品となりました。人物と放射現象による大きく見える太陽。これぞ映像表現のラストシーンを飾るドラマチックな作品となりました。
特別審査委員の佐野史郎さんも絶賛しておられました。
おめでとうございます。

特別審査委員賞(佐野史郎)

人物部門 「苗運び」
撮影地:松江市山代町
角 理恵子

部門賞

風景部門

風景部門 「豊作」
撮影地:安来市広瀬町宇波
福田 一壽 
今までの農村景観フォトコンテストにおいても余り見られなかった作品です。
収穫の季節に一列に並んだ南瓜達が縁側で顔見せしているような場面です。右側の一段と大きいのは大将でしょうか。如何にも整然と並んでいるだけで圧巻ですが、背景にある障子がこれ又、素晴らしい農村景観を見せています。
古いものでしょうか、破れていたりもしていて逆に効果的です。これらが南瓜の群れを引き立たせています。いずれにしても色彩表現も画面構成のよい作品となりました。
このような作品を見せられるとメルヘンの世界を想像します。これも農村風景の原風景といわれるものです。題材の選定が素晴らしかったですね。
おめでとうございます。

人物部門

人物部門 「お疲れ様!」
撮影地:出雲市湖陵町差海
後藤 孝司
 
「お疲れ様でしたね。」「ご苦労様でした。」「まあ一杯どーぞ。」という声が聞こえてくるようです。それだけに素直にシャッターチャンスを生かして撮っています。写真は瞬間的芸術といわれ、かつて写真評論家の金丸先生が写真は人の心まで写すといわれていましたが、この作品がそのような作品ではないのでしょうか。
多くの神社の祭りごとは酒がつきものですが、今時珍しい一升瓶に竹の杯を傾けています。お多福面の酒を注ぐ人、これは写真であるからできる表現で表情描写でもあります。派手な祭りの片隅でも、このような表情に目が向いた作者の素晴らしい人間愛に対する写真表現を見ました。
特にお二人の手の表情と位置もよく感動的な作品となりました。
おめでとうございます。

施設部門

施設部門 「師走の風景」
撮影地:雲南市加茂町岩倉
安田 朝行
 
これは煙草を乾燥する倉庫用に建てられた土蔵です。
かつては農村に多く見られた情景で、写真愛好家の皆さんがこぞって写したものですが、現在は煙草農家が減りその数も少なくなっています。
師走の風景となっていますが、逆光気味の光の中で赤く色づく土蔵と初冬に見られる芙蓉の花が印象的な画面となり素晴らしい農村風景を見せています。
これだけ明暗部を利用しての中間色の表現は絵画のような画面となりトリミングもよく奥行があり、冬空までも添景として、よい風景写真となりました。
おめでとうございます。

イベント部門

イベント部門 「熱いぞう」
撮影地:松江市秋鹿町井神
渡辺 敏美
 
今では秋鹿町「高祖寺」に伝承されているおもっつあんです。この撮影は、県の内外から多くのカメラマンが来町し、井神谷集落と本谷集落の伝統行事ともなり、今では松江の風物詩ともなっています。
今までは、お餅さんを担いで大日堂から集落まで行く風景写真が多く見られましたが、この作品は一週間前に行われたお餅つきを撮影しています。豪快につかれた餅を餅台まで運ぶまでの状況が撮られています。餅の質感までもよく撮れていますし、主役の二人の息のあったタイミングの描写が素晴らしいと思います。
ここまでには、カズラ取りから始まって海岸から神葉草で身を清めたり大変なドラマがあります。これらを一瞬のうちに表現しているような素晴らしい作品となりました。
おめでとうございます。

審査委員賞

島根県緑化推進委員会会長賞
風景部門 「ある風景」
撮影地:仁多郡奥出雲町佐白
原 実生
川本貢功賞
人物部門 「大餅つきの男たち」
撮影地: 松江市秋鹿町
桂川 亮
岩下直行賞
風景部門 「秋祭りの頃」
撮影地:松江市比津町(比津神社付近)
西尾 透
伊藤ユキ子賞
イベント部門 「田植えを終えて」
撮影地:雲南市掛合町入間
妙田 俊二
杉谷健司賞
人物部門
「ファーマーミュージシャン」
撮影地:鹿足郡津和野町木部
道信 猛夫
島根県農林水産部技監賞
人物部門「お手伝い」
撮影地:雲南市大東町山王寺
藤江 松男
水土里ネット島根専務理事賞
人物部門 「母子」
撮影地:安来市広瀬町西比田
藤原 靜雄

入選

風景部門 「雨上がり」
撮影地:雲南市吉田町菅谷
寄能 久子
風景部門 「ときめきの朝光」
撮影地:出雲市高松町
渡辺 正夫
風景部門 「初夏の夜」
撮影地:大田市五十猛町
橘 重孝
風景部門 「初冬の風物詩」
撮影地:益田市匹見町匹見
入江 孝美
人物部門 「はでばのきょうだい」
撮影地:出雲市斐川町福富
新田 康彦
人物部門 「捕れたんよ!」
撮影地:浜田市弥栄町高内
大石 正臣
施設部門
「アーチが織りなす流水の美」
撮影地:出雲市高松町および下古志町
藤原 直樹
イベント部門 「龍王祭りの日」
撮影地:出雲市斐川町阿宮
山田 勉

佳作

風景部門 「朝霧の中の送電線」
撮影地:出雲市斐川町出西
田坂 将
風景部門 「警戒」
撮影地:出雲市斐川町
島田 浩
風景部門 「秋うらら」
撮影地:出雲市斐川町坂田
行長 好友
風景部門 「一撃」
撮影地:安来市広瀬町上山佐地内(天馬山)
西村 稔
人物部門 「お母さんもうすぐ終る」
撮影地:安来市広瀬町西比田
遠藤 勉
人物部門 「なぎ2才」
撮影地:出雲市斐川町阿宮
三加茂 幸子
施設部門 「次代へつなぐ」
撮影地:出雲市万田町
樋野 輝吉
イベント部門 「わら蛇巻き」
撮影地:益田市匹見町
三宅 亮

山陰フジカラー賞

人物部門 「祝日」
撮影地:出雲市稗原町石畑
古瀬 倶之

農地保全管理賞

人物部門「シバザクラの里を目指して」
撮影地:安来市広瀬町東比田
仙石 晃

応募状況

応募作品総数

675点
風景部門 317
人物部門 178
施設部門 65
イベント部門 115
応募者数 244人(内県外者28人)

総評

今回で第20回目の「しまねの農村景観フォトコンテスト」となり、これを記念いたしまして松江市出身の俳優の佐野史郎さんを特別審査員としてお招きしました。
佐野さんの父上は医師会の写真仲間で活躍され、他のお医者さんは35㎜のライカなどでしたが、一人二眼レフを使用しておられました。これが当時は中々手に入らなかったミノルタフレックスだったそうです。
又、母方の祖父は出雲市大社町の写真館のご主人で写真に対するご造詣が深く創立まもない島根県写真作家協会の会長や中国写真協会会長等多くの要職についておられました。こんな環境の中で育てられた佐野さんは自然体として写真に興味や目が向いたのでしょうか、非常に写真に対する清澄な雰囲気を持っておられ、改めて写真に対する意気込みのようなものを感じました。審査当日もライカカメラを持参しておられ、特製のケースに入れて大切に扱っておられました。
審査にあたっては自ら多くの作品を選出されましたが、これが第1回から第3回まで審査を担当された今は亡き植田正治先生的な見方であることに二度びっくりしました。
さて、写真には、それぞれ一つの美学のようなものがあり、美しさの表現があって、それが美しさ以外の物語性を持ったりするものですが、今回このような作品と映画などのラストシーンの感動的な場面を切り取って映像化したような作品も応募されていました。
また、これまでも何回か申し上げておりますが、部門別の選択に迷いを持っている応募者の方がいらっしゃいますが、人物が画面の半分以上であれば、人物部門に応募して下さい。
最近のデジタルカメラは露出なども全自動になっておりますが、マニュアルで撮影すればシャッターも意図的にオーバー、逆にアンダーに設定出来ます。これを利用して早朝や暮色の頃の被写体を撮影されると個性的で多彩な表現が可能となりますので申し添えておきます。
デジタルカメラとプリントは年々新製品が多く発表されていますが、カメラまかせにしないで自分の感性で撮影して下さい。
島根県の風土の8割は山村と農村といわれており題材も豊富ですし、特にお祭りは我が国の中でもかなり多い方ですが、この中には人手不足で消えていくものもあります。
これらも時代を考証するものとして記録に残したいものです。
これができるのが写真であり記録であります。
 
(写真家/川本 貢功)
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